【浜松】スウェイバックとは?反り腰との違い・よくない理由・改善するといいこと|理学療法士が論文も交えて解説

「反り腰って言われて、腰を伸ばすストレッチをしているけど、あまり変わらない」
「太っているわけじゃないのに、下腹だけぽっこり出て見える」
セッションの最初に姿勢を見させていただくと、こうしたお悩みの方の中に、反り腰ではなく「スウェイバック」という立ち方になっている方がけっこういらっしゃいます。
見た目は反り腰とよく似ているのですが、体の中で起きていることは少し違います。違うということは、合う運動や意識するポイントも変わってくるということです。
今回は、理学療法士でピラティスインストラクターの高柳が、スウェイバックとは何か、何がよくないのか、改善するとどんな良いことがあるのかを、研究(論文)も交えながらお伝えしていきます。
この記事のポイント
- スウェイバックは「骨盤が前にすべり出て、上半身が後ろに倒れた」立ち方。反り腰とは別のタイプです
- 体の奥で姿勢を支える筋肉がお休みしやすく、そのぶん首・胸・腰の一部・股関節に負担が集まりやすくなります
- 「真ん中の姿勢」を取り戻すと、奥の筋肉が働きやすくなることが研究でも示されています
- ピラティスで姿勢の一部が変わったという研究もあります。ただし万能ではないので、順番が大切です
スウェイバックとは?
スウェイバック(sway-back)は、横から見たときに骨盤が前にすべり出て、胸から上が後ろに倒れている立ち方のことです。
洗濯竿にたとえると、真ん中がたわんで前に出ているような状態。骨盤が前に出たぶん、上半身を後ろに倒してバランスを取っているんですね。
もう少しくわしく言うと、こんな特徴があります。
スウェイバックによく見られる特徴
- 骨盤が、くるぶしの真上より前に出ている
- 胸から上が後ろに倒れ、そのぶん頭(あご)が前に出やすい
- 股関節は前に押し出され、膝は後ろに押し込むように伸びきりやすい
- 背中の上のほうは丸く、腰の下のほうだけが反っている
この立ち方の特徴は、筋肉をあまり使わずに、関節や靭帯に「もたれて」立てること。つまり、本人にとってはとっても楽な立ち方なんです。だからこそ、気づかないうちに習慣になってしまいます。
① 横から見た姿勢のくずれは、大きく4つのタイプに分けられる(2018年)
ポーランドの研究チームが、横から見た姿勢のくずれを「前弯(反り腰)型」「後弯(猫背)型」「平背(フラットバック)型」「スウェイバック型」の4つに整理しています。スウェイバックは骨盤が前に移動し、上半身がその後ろにある姿勢で、骨盤の傾きは普通かやや少なめ、股関節は伸びた状態になるとまとめられています。
出典:Czaprowski D, et al. Scoliosis Spinal Disord. 2018;13:6.
反り腰とスウェイバックは何が違うの?
一番の違いは骨盤の向きと位置です。
反り腰は、骨盤が前に傾き(前傾)、腰が強く反っている状態。お尻が後ろに突き出るような形になります。
スウェイバックは、骨盤の傾きはむしろ普通か少なめで、骨盤そのものが前に移動している状態。お尻は突き出るどころか、平たく見えることが多いです。

どちらも「お腹が前に出て見える」ので、ご自分では反り腰だと思っている方が多いです。
ここが大事なところで、反り腰向けの「腰を丸める」「骨盤を後ろに倒す」ような意識をスウェイバックの方がやると、もともと少なめの骨盤の傾きがさらに減って、かえって真ん中から遠ざかってしまうこともあります。「頑張っているのに変わらない」の正体が、ここにあることもあるんです。
ちなみに、きれいにどちらか一方に分かれるとは限りません。「上は猫背、下はスウェイ気味」のように重なっている方もいます。なので松華では、決めつけずに、立った姿勢と動きの両方を見て確かめるようにしています。
スウェイバックかも?簡単なセルフチェック
自分の姿勢は、自分ではなかなか見えません。プロの僕でも自分の体は見えないので、ご家族に横から全身の写真を撮ってもらうのが一番わかりやすいです。

耳・肩・股関節の横・くるぶしが、縦にほぼ一直線に並んでいれば「真ん中の姿勢」に近いです。骨盤のあたりだけ線より前に出ていたら、スウェイバックの傾向があるかもしれません。
ただ、当てはまったから必ずスウェイバック、というわけではありません。写真の撮り方やその日の立ち方でも変わりますので、気になる方は一度見せてくださいね。
スウェイバックの何がよくないの?
「楽に立てているなら、別にいいのでは?」と思いますよね。
楽なのは、筋肉の代わりに関節や靭帯が支えてくれているから。その状態が毎日、何時間も続くと、こんなことが起きやすくなります。

1体の奥で姿勢を支える筋肉がお休みしてしまう
お腹の奥の筋肉や腰の奥の筋肉は、本来、背骨を内側から支えてくれる大事な筋肉です。スウェイバックのような「もたれる立ち方」では、この筋肉たちの出番が減ってしまうことがわかっています。
② 「もたれて立つ」と、お腹と腰の奥の筋肉が働きにくくなる(2002年)
腰痛のない20人の方で、背筋を伸ばした立ち方とスウェイの立ち方を比べた研究です。スウェイの立ち方では、お腹の奥の筋肉(内腹斜筋)や腰の奥の筋肉(多裂筋)の働きがはっきり下がり、反対にお腹の表面の筋肉(腹直筋)の働きは上がっていました。研究チームは、体をまっすぐ整えて立つときに、こうした奥の筋肉が働いていると結論づけています。
出典:O’Sullivan PB, et al. Spine. 2002;27(11):1238-1244.
2首・肩・胸の前が頑張りすぎてしまう
上半身が後ろに倒れると、頭が前に出やすくなります。頭の重さは5kgほど。その重さを首や肩の筋肉が支え続けることになるので、首・肩のこりにつながりやすくなります。肩こりで来られる方の中にも、実は足もとの立ち方から見直したほうがいい方がいらっしゃいます。
3腰の下のほうと股関節に負担が集まりやすい
スウェイバックでは、上半身の重さがかかる線が、腰の骨や股関節の後ろ側を通りやすくなります。そうすると、腰の下のほうと股関節の前側に、反らす方向の負担がかかり続けやすいと言われています。①の研究でも、腰と股関節への負担の偏りが指摘されています。
4下腹ぽっこり・お尻が平たく見える
お腹の奥の筋肉やお尻の筋肉がお休みしがちになるので、見た目にも出やすいです。体重は変わっていないのに「下腹だけ出る」「お尻が下がった気がする」という方は、脂肪よりも立ち方の影響が大きいこともあります。
では、姿勢と腰の痛みの関係はどうなのでしょうか。
③ 「真ん中」から外れた立ち方の子どもは、腰痛を持っている割合が高めだった(2008年)
オーストラリアの766人の10代を対象に、横から撮った写真で立ち姿勢をタイプ分けし、腰痛との関係を調べた研究です。真ん中(ニュートラル)から外れた姿勢のグループは、真ん中の姿勢のグループに比べて、どの腰痛の項目でも腰痛がある割合が高めで、15の分析のうち7つで統計的にはっきりした差が出ました。
出典:Smith A, O’Sullivan P, Straker L. Spine. 2008;33(19):2101-2107.
ただし、ここは正直にお伝えしておきたいのですが、姿勢だけで痛みが決まるわけではありません。同じ姿勢でも痛くない方はたくさんいますし、仕事・靴・睡眠・ストレスなど、いろいろなことが重なって不調になります。スウェイバックは「悪者」というより、負担が偏りやすい「一つの原因」くらいに考えてもらえたらと思います。
スウェイバックを改善すると、何がいいの?
真ん中の姿勢に近づくと、体の中ではこんな変化が期待できます。
真ん中の姿勢に近づくと期待できること
- お腹や腰の奥の筋肉が働きやすくなり、立つ・歩くが「もたれる」から「支える」に変わっていく
- 首・肩・腰の下のほうに集まっていた負担が分散され、長く立つ・歩くのがラクになっていく
- お腹まわりやお尻のラインがすっきり見えやすくなる
- 「いい姿勢を頑張って保つ」のではなく、自然に真ん中に戻れる体になっていく
②の研究のチームも、奥の筋肉を働かせるために姿勢を整え直す練習が大切だと述べています。では、ピラティスで姿勢は変わるのでしょうか。研究を3つご紹介します。
④ 週2回・6か月のピラティスで、頭と骨盤の位置に変化(2013年)
成人女性74人を、ピラティスのマットクラス(週2回・60分)を6か月続けるグループと、運動をしないグループに分けて比べた研究です。ピラティスのグループでは、横から見た頭と骨盤の位置、正面から見た肩の位置が改善しました。一方で、背骨や骨盤の左右のずれには変化が見られませんでした。
出典:Cruz-Ferreira A, et al. Women Health. 2013;53(6):597-611.
⑤ 12週間のピラティスで、背中の丸まりが減り、お腹の力が向上(2010年)
週2回・1時間のピラティスを12週間続けたグループでは、座ったときの背中の丸まりが減り、お腹の筋力が高まりました。腕を上げる動作のときも、腰で反ってごまかす動きが減り、体幹が安定していたと報告されています。
出典:Emery K, et al. Clin Biomech. 2010;25(2):124-130.
⑥ 慢性の腰痛には、短期的に痛みと動きやすさが改善(2014年)
14の研究をまとめたレビューでは、ピラティスは通常のケアや一般的な運動と比べて、4〜15週の時点で痛みと日常の動きやすさが改善していました。ただし24週の時点では差がなく、マッサージやほかの運動と比べると同じくらい、という結果でした。
出典:Wells C, et al. PLoS One. 2014;9(7):e100402.
こうして見ると、ピラティスは姿勢づくりに役立つ運動の一つですが、何でも一気に変わる魔法ではないことも分かります。やめてしまうと元に戻りやすいので、日常の立ち方まで変わるところを目指すのが大事だと考えています。
松華では、こんな順番で進めていきます
スウェイバックの方に「いい姿勢を意識してください」とだけお伝えしても、なかなか変わりません。癖は「やめよう」と頑張って直すものではなく、体が変われば自然にやめられるものだと思っています。
1まず、今の姿勢を一緒に確かめる
立ったときにかかと側・つま先側のどちらに体重が乗っているか、骨盤がどこにあるかを、ご自身にも感じてもらいながら確認します。正面と横の写真を撮り、最後にもう一度撮って見比べます。
2整える(真ん中を取れる状態にする)
縮こまっている首・胸の前や太ももの裏をゆるめ、まずは真ん中の姿勢を取れる状態にします。整っていないまま鍛えると、無理な力が入ってしまうからです。
3感じる・使う
マシンのバネに支えてもらいながら、足裏→内もも→お腹とつながる感覚や、お尻で支える感覚を引き出していきます。意識するのは一度に一つだけ。今日感じられなくても大丈夫です。
4日常の立ち方につなげる
ご自宅でやることは欲張らず、絞ってお伝えします。「さっきの自分より、少し楽に立てる」を積み重ねて、普段の立ち方そのものが変わっていくことを目指します。
「筋力がないから」と諦める方も多いのですが、多くの場合は筋肉がないのではなく、使えていないだけです。使えるようになれば、体はちゃんと応えてくれます。
よくあるご質問
Q.自分で気をつけられることはありますか?
A.立っているとき、膝をピンと後ろに押し込まず、軽くゆるめて自分で支えている状態を意識してみてください。体重がかかとだけに乗っていないかも、ときどき感じてみると良いと思います。ただ、意識を増やしすぎると続かないので、まずは一つだけで大丈夫です。
Q.反り腰のストレッチは、やめたほうがいいですか?
A.一概には言えません。反り腰とスウェイバックが重なっている方もいますし、その方の体によって合う・合わないが変わります。今やっているものがあれば、一度見せていただければ一緒に確認します。
Q.どのくらい通えば変わりますか?
A.最初の数週間は間隔を詰めて通うと、体が動きを覚えやすいと感じる方が多いです。初回に撮る写真で、その日の変化も一緒に確認していきます。
まとめ
スウェイバックは、骨盤が前にすべり出て、上半身が後ろに倒れた立ち方です。楽に立てる反面、体の奥で姿勢を支える筋肉がお休みしやすく、首・肩・腰・股関節に負担が偏りやすくなります。
反り腰と似ているけれど、合う対策は同じとは限りません。だからこそ、まずは今の体がどうなっているかを知ることが、とっても大事です。
「私、もしかしてスウェイバックかも?」と思ったら、お気軽にご相談くださいね。
- 痛みが強く、原因がまだ整理されていないとき(先に医療機関へのご相談が必要な場合もあります)
- 関節がうまく動かないまま、お腹だけを固めようとしているとき
- 「1回やればすぐに変わる」と考えているとき
こうした状態のままピラティスを始めると、頑張っているのに、かえって別の場所に無理がかかってしまうことがあります。まずは体の状態を確かめて、「今は整える時期なのか、鍛える時期なのか」を見極めることを大切にしています。
そのうえで、「今のあなたの体に必要だ」と思えたときには、全力でお勧めします!!
松華のピラティスが大切にしていること
STEP 1体の状態を知る
問診と、立ち方・重心・動き方のチェックで、どこが頑張りすぎていて、どこが使えていないのかを一緒に確認します。
STEP 2整える
必要に応じて整体で体をゆるめ、動きやすい状態をつくります。
STEP 3動きを覚える
マシンピラティスで、良い体の使い方を動きの中で覚えていきます。ご自宅でできることも、欲張らず1つに絞ってお伝えしています。
理学療法士として17年間、体の動きを見てきた経験をもとに、その場であなたに合う動きを選んでいきます。決まったメニューをこなすのではなく、「さっきの自分より、少し動きやすい」を一緒に積み重ねていくのが松華のピラティスです。
よくある質問
まとめ
ピラティスは、運動が苦手な方、体が硬い方、自己流で行き詰まっている方、長く動ける体でいたい方に、とても合いやすい運動です。
一方で、ピラティスですべてが解決するわけではありません。研究でも「良い運動の一つ」と言われているからこそ、今のあなたの体に合うかどうかを、最初に一緒に確かめることを大切にしています。
「私にも合うのかな?」と思ったら、まずはお気軽にご相談くださいね。
まずは体の状態を、一緒に確かめてみませんか?
理学療法士が、今の体の状態と、ピラティスが合うかどうかを丁寧に確認します。
運動が苦手な方も、安心してお越しください。
ご相談だけでもOK/お電話・お申し込みフォームからも受け付けています
この記事を書いた人
高柳 勝之(整体×ピラティス 松華 -SYOUKA-)
理学療法士歴17年(整形外科13年)/ピラティス歴9年/PHIピラティス コンプリヘンシブインストラクター。整形外科で「症状が戻ってしまう」ことに悩んだ経験からピラティスと出会い、体の仕組みに合わせたオーダーメイドのピラティスをお伝えしています。
参考文献
- Czaprowski D, Stoliński Ł, Tyrakowski M, Kozinoga M, Kotwicki T. Non-structural misalignments of body posture in the sagittal plane. Scoliosis Spinal Disord. 2018;13:6.
- O’Sullivan PB, Grahamslaw KM, Kendell M, Lapenskie SC, Möller NE, Richards KV. The effect of different standing and sitting postures on trunk muscle activity in a pain-free population. Spine. 2002;27(11):1238-1244.
- Smith A, O’Sullivan P, Straker L. Classification of sagittal thoraco-lumbo-pelvic alignment of the adolescent spine in standing and its relationship to low back pain. Spine. 2008;33(19):2101-2107.
- Cruz-Ferreira A, Fernandes J, Kuo YL, et al. Does pilates-based exercise improve postural alignment in adult women? Women Health. 2013;53(6):597-611.
- Emery K, De Serres SJ, McMillan A, Côté JN. The effects of a Pilates training program on arm-trunk posture and movement. Clin Biomech. 2010;25(2):124-130.
- Wells C, Kolt GS, Marshall P, Hill B, Bialocerkowski A. The effectiveness of Pilates exercise in people with chronic low back pain: a systematic review. PLoS One. 2014;9(7):e100402.
